2025.9.19

先輩に会いに行くvol.3 鳥取大学から鳥取県庁へ 公務員のリアルとは?

大橋未唯
先輩に会いに行くvol.3 鳥取大学から鳥取県庁へ 公務員のリアルとは?

FEATURE特集

鳥取大学の卒業生に現役学生が会いに行くシリーズ「先輩に会いに行く」。今回は、地域学部OGで、現在は鳥取県庁職員として活躍する岡田友菜さんに、同じゼミの後輩にあたる大橋未唯さんがインタビュー。公務員という仕事のやりがいや学生時代の学びについて伺います。

 

「公務員の仕事って、デスクワークばかりで堅そう…」
「マニュアル通りにこなす毎日なのかな…」

もしかしたら、かつての私のように、あなたもそんなイメージを抱いているかもしれません。今回お話を伺った鳥取県庁職員の岡田友菜さんは、私の公務員に対するイメージを覆してくれました。鳥取大学地域学部出身で、私が現在所属する多田憲一郎先生のゼミのOGでもある岡田さん。そのキャリアは、公務員という仕事が持つ奥深さと、県民とのつながりから生まれるかけがえのないやりがいに満ちていました。

 

公務員に抱くイメージのギャップ

大橋:はじめに、鳥取県庁では具体的にどういうお仕事をされていますか?

岡田:最初は、商工労働部という県の産業支援や企業を支援する部署で、部内の予算管理、物品購入などを担う総務を2年間していました。その後は、県民参画協働課で3年間、大学生や地域団体の活動を支援していましたね。そして、現在(編集部注・インタビューは2025年1月に行われました)は広報課で1年です。鳥取県の広報誌「県政だより」を制作するにあたって、各地に足を運び取材し、記事執筆をしています。

岡田友菜さん

大橋:3部署経験された中で、印象に残った部署などはありますか?

岡田:県民参画協働課です。地域で活動する方と密に関わることができる、大学で学んだ地域振興やまちづくりなどに関係する仕事でした。元々公務員として取り組みたいとイメージしていたのは県民参画協働課のような仕事でした。実際、私が大学生を担当させていただいたのもあって、学生さんや彼らと関わる人と一緒に仕事できたのが楽しかったです。

大橋:ちなみに大学生の時に想像していた公務員の姿は実際に社会人になってからどう変わりましたか。

岡田:公務員になるまでは、ずっとデスクワークして黙々ガリガリ仕事をするというイメージがありました。公務員になりたいという思いはありましたが、果たして仕事自体が楽しいと思えるかどうかは不安でした。当時の勝手なイメージですが、真面目でコミュニケーションもあまり活発でないと思っていました。でも、入ってみたら残業が多い時期でさえ楽しいと思える仲間に出会えました。仕事内容も興味深く、職場環境も楽しい雰囲気で、これは公務員になってわかった、いい意味でのギャップでしたね。

 

学生時代の経験が社会で活きる

大橋:県庁のお仕事のやりがいはありますか?

岡田:すべての仕事が鳥取県の全体に関わっているところがやりがいだとは思いますが、一番やりがいを感じるのは県民の方と直接触れ合う何かをした時です。
今は県政だよりを作っていて、直接県民の方に手渡しして感想をもらうことはないですが、読者の声をいただいて、県の仕事や県政だよりについて良いコメントを頂けたときにはとてもやりがいを感じます。県民参画協働課の時だったら、地域づくりをしている学生さんが集まる交流会や、地域団体さんを紹介するイベントを主催した時に「交流会を開いてくださってありがとうございます。」とか「僕たちの声を聞いて新たな取り組みを行ってくれたことがとても伝わってきて、ありがたいです。」などのコメントを頂けたときにやりがいを感じます。

大橋:なるほど、それは嬉しいですね。社会人になってから学生生活を振り返って、当時やっていたことや、経験したこと、持っていた考え方が社会人になってから役立ったことなどはありますか?

岡田:公務員といえばデスクワーク中心というイメージがありましたが、入ってみると思ったより県庁の外の方と関わる機会がたくさんありました。公務員に限らずどんな仕事も人との関わりが多く、特にコミュニケーションは仕事を進めるうえでとても重要だと思っています。私は大学生の時に居酒屋やスーパーなど接客業のアルバイトをしていましたが、そういった場で初対面の方とのコミュニケーションが学べたと思います。だから、多様なコミュニティの人と接し、円滑に対話するスキルを身に着けることは役立つと思います。

 

地域学部ってどんなところ?

大橋:岡田さんにとって鳥取大学地域学部はどんな場所でしたか。

岡田:地域学部って本当に学ぶ幅が広くて、こんなに地域を題材に多角的に学べる学生生活の環境は意外とないんじゃないかなって思っています。実際、今の公務員の仕事は部署が変わっても常に地域について考えるような仕事なので、地域学部で色んな方向で地域の事を学べたのは良かったなと思います。あとは授業では地域に出向く機会が多く、地域の活動を見たり、実際に地域の方の声を聞かせてもらったりする機会も多いのでそういう経験も今結構役に立っています。それこそ地域の方の声を聞いて、どんな事業にしようか考えたりしますし、県政だよりも地域の方の声を記事にさせてもらったりしているので。

大橋:最後に、鳥取大学の先輩として、私たち学生へメッセージをください。

岡田: もちろん学生さんは勉強もいっぱいしないといけないし、その傍らでアルバイトもあって、みんなが思った以上に時間がなく、忙しいと思うんです。でも同時に、人生の中で自由に使える時間がある特別な期間だとも思います。その時間を大事にして、例えば旅行に行ったり、色んな経験をしてもらえたらいいなって思います。

今回の岡田さんへのインタビューは、公務員という仕事に対する私のイメージを変えるものでした。正直なところ、公務員は机に向かって黙々と作業する堅い仕事という漠然としたイメージを抱いていた私にとって、岡田さんの語る多様な業務内容、特に県民参画協働課での経験は印象に残りました。県民の声に直接触れることで生まれるやりがいは、想像以上に大きいようで、公務員の仕事が持つ多面性を教えてくれました。

また、鳥取大学の先輩として地域学部での学びや学生時代の経験が社会人になってどう生かされているのかを具体的に聞けたことも大きな収穫でした。地域を多角的に学べる地域学部の良さや、アルバイトを通して身に着けた力が仕事で役立つというのは今の私たち学生にとって貴重なアドバイスです。

私自身、現在は卒論に取り組んでおり、様々な方々と直接かかわる機会があります。今回のインタビューで岡田さんが話されていた「人との関わり」は私たちが大学で学んだことが公務員に限らず、どんな仕事でも活かせるのだと感じました。
岡田さんの、仕事に対する思いと、楽しんで取り組む姿勢に触れ、来年から社会人として新たな一歩を踏み出すことに対して不安があった中で、働くことへの前向きな気持ちを持つことができました。

 

これまでの「先輩に会いに行く」シリーズ

先輩に会いに行くvol.1 島根県川本町の因原神楽を見たことがありますか?

先輩に会いに行くvol.2 地域を活かす保育とは?

 

岡田友菜 / Tomona Okada
鳥取大学地域学部地域政策学科を卒業。現在は鳥取県庁に勤務。
大学時代は学科やサークルの友人とたくさん旅に行ったのが思い出で、社会人になった今でもかけがえのない仲間たちです。

大橋未唯 / Miyu Ohashi

兵庫県姫路市出身。鳥取大学地域学部地域創造コース2022年度入学。美術館と自然が好き。

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