2026.6.9

先輩に会いに行く vol.4 同じ地域学部に通った姉妹の共通点とは?

武久真子
先輩に会いに行く vol.4 同じ地域学部に通った姉妹の共通点とは?

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岡山県備前市から鳥取大学地域学部に進学した武久真子さん・千栞さん姉妹。2025年、国際地域文化コースに在籍中の妹・真子さんが、地域創造コースの卒業生である姉・千栞さんに「地域学部の先輩・後輩」としてインタビューを行いました。地域が好きという気持ちや、無理に何者かにならなくてもいいという学びなど、身近だからこそ聞けなかった話が、少しずつ言葉になりました。

 

「姉妹そろって鳥取大学の地域学部なの?」
出会う人に聞かれるこの言葉にいつも疑問を持っていました。姉妹一緒ってそんなに不思議なの?と。そこで今回は実の姉でもあり、地域学部の先輩でもある武久千栞さんにインタビューしました。地域学部での学び、私とのことなど、「私」を形成するうえではいなくてはならない存在にお話を伺いました。

 

キーパーソンにならなくても、地域を好きでいていい

真子:まず地域学部ではどんな思いをもって学んでいましたか?

千栞:最初の頃は「地域経済って面白そう、地域活性化するぞ」みたいな意気込みがありました。また、地域学部となると、周囲とプロジェクトを立ち上げたり、行政と一緒に少子高齢化を食い止めるなど、強気な人たちが多いと思っていました。最初は私もそうならなければと思っていましたが、そのうち私はもっと小さなものに目が向くことが多く、それが私の地域学を学びたいという思いじゃないかと思うようになったんです。そして色々な友達の活動を見たり、地域調査プロジェクト(地域学部の学生が2年次に履修する実習形式の授業。地域創造コースでは一年間にわたって県内の市町村を調査地に地域の現状や課題を研究し、国際地域文化コースでは教員設定のテーマに基づき班ごとに実施。成果は発表会や報告書で公開される)で自分の地元を調査したことで、備前市新庄が好きっていう気持ちがどこから来ているのか見つめなおすことができました。その時に私は、別にその地域のキーパーソンにならなくてもいいんだと思うようになりました。

真子:私は以前その言葉を聞いた時にとても衝撃でした。今までずっと何者かにならなければいけないという意識があったけど、そうでなくてもいいということに気がついたと同時に、長年背負っていた不安のようなものがなくなりました。

千栞:何もできない自分がいるけど、でも地域のことがすごい好きって思う人が、一人でもその地域に残っておけば何かになるのかなって思いました。私もそうやってちょっと安心した瞬間に、地域学が面白くなってきました。地元が好きでずっと続いてほしいという軸を持ちながら、自分の好きなことをして、興味ある事の学びを深め、最後は地元に還元できるようなイメージで学んでいくようになりました。

真子:確かに在学中は好きなことを追求しているイメージがありました。私が特に印象に残っているのは地域調査プロジェクトで私たちの地域を調べていたところなのですが、どんなことをしていたんですか。

千栞:地域調査プロジェクトは、「自分の住んでいたところが村だったのか」という疑問をきっかけに調査を行いました。私の地元の備前市新庄は一般的なイメージでは村なのだと周りから言われていました。でも私は村と言われるのは嫌で、村じゃないとも思っていて。そこで、村と言われるのがすごく嫌だったのはなぜなのか、1年間、対象地域である鳥取市の新川地区を見ながら自分と対話していくようにしました。

武久千栞さん

真子:地域調査プロジェクトからどんなことが分かりましたか?

千栞:私は村というものにひとくくりにされるのがすごく嫌なんだと気がつきました。私たちが育った新庄だったら新庄の良さがあるし、新川だったら新川の良さがある。それなのに、村という言葉でひとくくりにされるということがすごく嫌だったんだなと気がつきました。また、地域調査プロジェクトで出会った人や講義のゲストの大人たちを見ていると、地域のためというよりも、なにか自分の好きなこと、ワクワクすることをしていたら、結果、地域に結びついていった方が多くいらっしゃるイメージを持ちました。そこから、じゃあまずは自分がワクワクすることをしていた方が、嫌々するよりはいいかなと思い、自分の好きなことを追求するようになりました。

 

先輩の言葉が動かす、これからの私

真子:鳥取大学の卒業生として、私や現役の学生に伝えたいことはありますか?

千栞:リアルなことを言うと、時間があるのが大学生で、やりたいことをして、会いたい人に会って、好きなことを学ぶのが一番です。ワクワクしたり面白いと思ったものに飛びついてみること。当時の私も「怖がらずにやってみよう」という気持ちによって、世界がパッと開けた気がします。臆病者な私も、一歩踏み出してしまえば後はどうにでもなるから挑戦しようと思えた経験があります。

真子:それは、やはり在学してた時に自分が行動をしたから、そういうふうに思ったんですか?

千栞:私は元々すごく怖がりで。どちらかというと、友達に連れられたり、誰かにアプローチされたりというのがすごく多かったです。でも、そのおかげで結果的には一歩踏み出すことができた。だから逆に、誰かを引っ張れてほんの少し行動力がある人が、行きたいけど行けない私みたいな人を引っ張ってほしいなとも思います。

真子:最後に、先輩・後輩としてインタビューしましたが、どうでしたか?

千栞:普段だと説教になってしまうところを、インタビュー形式だったからこそ、私の考えですよというふうに、今までとは違う方法で伝えられたのが良かったです。あと、妹とこんな形で話すことができて嬉しかったし、楽しかったです。

真子:そんなふうに思ってたんだ(笑)。私もお姉ちゃんの言葉や考えを聞いて、改めてもう少し柔軟に色んな物事に関心を持って学ぼうかなと思える貴重な体験になりました。

武久真子さん

今回は姉妹としてではなく、先輩・後輩という立場でインタビューを行いました。普段から連絡を取り合い、休日に出かけることもある関係だからこそ、なかなか言葉にしてこなかった真面目な話や、お互いが抱いているイメージについて率直に聞くことができました。表面だけでなく内側にある思いまで掘り下げられたように思います。

インタビューの中で彼女が何度も口にした「地域が好き」「やりたいことをする」という言葉は、私自身の軸でもあります。その価値観は、知らず知らずのうちに姉から影響を受けていたのだと気づきました。私たちは性格も選ぶ道も異なりますが、根本にある思いはどこか共通している。枝分かれしながらも、遠くから見れば一本の大きな木のようにつながっているのだと感じました。

同時に、姉が思う自分像と私から見た姉の姿、そしてその逆にもずれがあることを知りました。どれほど近い関係でも、言葉にしなければ伝わらないことがある。その事実も、今回の対話が教えてくれた大切な学びです。

私はこれまで、「私」を形づくるうえで姉は欠かせない存在だと考えてきました。しかし姉にとっても、私がその一部であることを知りました。さらに、姉自身もまた私以外の多くの人の影響を受けていること、新庄を好きになった背景には新川の方々や地域学で出会った人々の存在があったことも知りました。こうして振り返ると、「私」という存在は決して一人で完結するものではなく、さまざまな人との関わりの積み重ねの上に形づくられているのだと実感します。

地域学部で学ぶ中で、芸術を通して地域に何が還元できるのか、さらに海外の地域にも目を向けたいという思いが芽生えています。今回のインタビューを通して、その問いをより深め、残りの大学生活で「自分にとっての地域とは何か」を考えていきたいと思うようになりました。

 

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武久千栞 / Chika Takehisa
鳥取大学地域学部地域創造コース2025年卒業。現在は岡山県内の企業に就職。

武久真子 / Mako Takehisa

岡山県備前市出身。地域学部国際地域文化コース2024年度入学。姉と同じ学部を志し入学した。甘いものが好きで趣味は料理。

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