2024.7.4

大学生と地域をつなぐ「bankup」ってどんな団体? 中川玄洋さんインタビュー前編

金子林太郎
大学生と地域をつなぐ「bankup」ってどんな団体?  中川玄洋さんインタビュー前編

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鳥取で20年以上、学生と地域や企業をつなぐ活動を続けている団体があります。
NPO法人bankup(旧・学生人材バンク)は、主に、鳥取県内の農村集落へのボランティア活動や、企業の課題解決を目的としたプロジェクトに、学生たちを派遣しています。
代表の中川玄洋さんは、鳥取大学出身で、学生時代にbankupの前身である学生人材バンクを立ち上げています。そんな中川さんに、地域活動を継続するコツ、活動する上で大切にしている思いなどを伺いました。

 

学生が地域に踏み出す一歩を支援する

——なぜ、学生人材バンクから名前を変えたのですか?

中川:元々は、学生のボランティア派遣をやっていました。主に農学部の子たちが農村地域に行くというボランティア活動です。その後、学生以外の人と地域をつなぐ事業も増えてきたんですが、僕らが企業さんに、「副業で社会人と何かやりませんか?」って提案しても、「え?でも、学生だよね?」って言われてしまって。名前から大学生がやっているサークルのイメージを持たれてしまうので、設立20周年を迎えた2022年にbankupに変更しました。

——bankupという名前には、どんな由来があるのですか?

中川:学生人材バンクという名前が長かったので、関わる人たちからはずっと「バンクさん」と呼ばれてきました。そこで、愛称にもなっている「バンク」という単語は残しつつ、何かいい言葉はないかと探していた時に「bank up」という言葉を見つけたんです。「bank up」には、元々ある火を大事にして、その火をさらに燃やす、支援をするみたいなニュアンスがあって、僕らがやってきたことそのものを表す言葉になりそうだなとbankupに決めました。


中川さんと学生スタッフ。現在7名のスタッフで、所属する約100名の学生たちの「やりたい」を伴走型で支援している。

 

——長く活動されていますが、継続するコツはありますか?

中川:特に学生に対しては、持ち出しさせない体制を作ることが継続する上では大事だと思います。「めちゃくちゃ楽しいです!でも毎年お金払ってます」みたいな感じになると、学生はしんどいですよね。だから、部費はないし、アジト(拠点)を用意するから場所代はいらない、レンタカーを用意するから移動費用もいらないみたいな感じにしています。ここが学生にとっては社会に踏み出すための第一歩。ここを乗り越えたらもっと参加する人が増えるというところは大人が頑張って用意すればいいと思っています。

 

まずは、面白いと思うことをやる

——学生に地域で活動してもらう時に、大切にしていることは?

中川:まずは、面白くやることを大事にしています。社会問題の解決は「〜しなければならない」みたいなのが多いんですが、「〜しなければならない」に関わるのはとてもしんどいと感じたんですよね。僕としては、せっかく鳥取にご縁があって来てくれた学生たちが10年後20年後に地域のキーマンになってくれればいいなと思っているので、まずは面白いと思ったことをやってみる。やってみたら世の中の役に少し立ったみたいな感じでいいと思っているんです。本人の興味関心やモチベーションを大切にして、それをベースに何かをやることで、仲間や共感を集めるってことを体感してもらいたいなと。導入の部分で楽しくないと続かないんです。


bankup所属の学生団体「三徳レンジャー」。三朝温泉の近くで米の生産から販売までを行う6次産業を実践中。

 

——面白いこと、楽しいことを大切にされているということですが、これまで学生に好評だった取り組みは?

中川:三朝町三徳地区で稲作に取り組む「三徳レンジャー」や、県内外の集落のイベントや農作業にボランティアを派遣する「農村16きっぷ」は、昔も今も変わらず若い世代が興味関心を持ってくれます。農学部の人には農作業が農村でできる、地域学部の人には農村集落に行けるみたいな、本来の専門に近い領域の現場を見たいという学生の関心が大きいかなと思います。
ただ、最近は「みんな何したい?」って、逆に聞きたいんだよね(笑)。地域学部だと、たくさん地域に出ている人と全く出ない人で、二極化している気がします。僕はもっと地域に出た方が面白いと言いたいけれど、最近の若者はどこに引っかかるのか全然分からない。自分が学生のときは、学内を勝手に開墾して畑を作ったり、紙を集めて古紙回収業者に売って小金を稼いで酒を飲んだりして、そこで地域にも関わるポイントを見つけていたんです。みんなは何がしたいんだろう?


「ワークショップ入門」でのインタビュー風景。学生5名でお話を伺いました。

後編へつづく

 

NPO法人bankup
https://www.bankup.jp/

中川玄洋さん
https://www.instagram.com/genyonakagawa/

金子 林太郎/Rintaro Kaneko
長野県長野市出身。鳥取大学地域学部地域創造コース2022年度入学。鳥取大学吹奏楽団W.E.所属。OASOBI quartetとして鳥取市内のイベントで演奏している。大学ではできる限りやりたいと思ったことを無理せず、やれるだけやることをモットーに生活している。

*この記事は、鳥取大学地域学部地域創造コース2年次選択科目「ワークショップ入門」(菰田レエ也先生、2023年度)でのインタビューを基にしています。

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