2023.7.18

鳥取における芸術の「謎解き」に挑み続ける 門村裕明さん インタビュー後編

わたし|ワンダー編集部
鳥取における芸術の「謎解き」に挑み続ける 門村裕明さん インタビュー後編

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かつて鳥取の映画文化の一翼を担った「鳥取シネマ倶楽部」。代表を1987年から3年間務めた門村裕明さんへのインタビュー後編です。前編の映画の話から一変、インタビューは門村さんの最近の趣味である「謎解き」や鳥取の作家に話が展開します。文化芸術に関心のある鳥取大学地域学部生の集まり「にんげん研究会」の木原さんと杵島さんがお話を伺いました。

 

「面白そうだな」と思って行ってみたら、難しくて成功できなかった

——家ではどういう謎解きを解かれてるんですか。

門村:(後ろから本を取り出す)

——ありますか(笑)。びっくりした。

門村:こ、こういう。このSCRAPっていうのが謎解きを始めた会社で、謎解き専門の出版社を作って本を出しています。テレビの謎解き番組の謎を集めたような本とかね。この「魔王塔からの脱出」は、もう既に書き込んでいるからネタばれになるけど(ページをめくりながら)、本に穴が空いていて、解いたときに書き込んだものが次の謎に影響してくるというような。多分表紙にある穴も最後の謎に使うと思う。

——なるほど!

門村:テレビでやってるような謎解きは一つの問題で完結するようなものですけど、公演や本での謎解きは、解き進めていくと次のステップにつながるキーワードが出てきて、最終的には今まで出てきた解答をもとにして解く、みたいな。出てきた謎が最後に全部関係してくるような恰好に作ってあるので、それまでの謎を振り返りながら、考えて閃かないと解けないんです。

——ちなみにこれはどこまで解けましたか。

門村:今、最後のとこまで行ってその途中です。

——おっ!最後まで終わった本とかあるんですか。

門村:ええ。謎解き番組の本は、二十何巻出てるのかな。最後の一巻以外はとりあえず解きました。

——すごい!謎解きを始めたきっかけは何だったのですか。

門村:SCRAPが名探偵コナンとコラボした謎解きの公演イベントを全国ツアーで展開していて、米子でやったんですよ。ある時そういうのがあると知って、まあ近くだったし、コナンだし、「面白そうだな」と思って行ってみたら、難しくて成功できなかったんです。でも、面白かったので、それ以来行くようになりました。

——そういう公演はお一人でいくんですか。

門村:そうですね。そのコナンの時は、一人で行ってその場で何人かでチームを組んで。まあ最近はSNSで「この公演に行くんですけど、誰か一緒に行きませんか」みたいな情報が流れるので、事前に人を集めて一緒にいく、みたいなのも増えてきましたね。最近はこうした謎解きの公演に行くのが多くて、映画とかはあんまり…見に行けてないんですけど(笑)。

——そうなんですね(笑)。

 

門村さんが楽しむ鳥取の芸術活動

——では次に、門村さんが芸術って聞いたときにどういったものをイメージされるのかなっていうことをお聞きしたくて。

門村:芸術っていうと、一番最初にイメージが浮かぶのはやっぱり、岡本太郎さんとかね。アートとか絵画とかではなく、芸術って言われると、ちょっと小難しいというか、構えているような感じですね。

——そうですね。私も芸術って聞いたら、美術館で観るような、「ちょっと気合入れてみなきゃ」みたいな感じをイメージをしてしまいます。逆に、芸術でなくアートって言ったら、どんなものが浮かびますか。

門村:そうですね。最近は伊勢丹のポスターを描いた鳥取県出身の毛利彰さん[1]の娘で、イラストレーターの毛利みきさんが、鳥取で合同の展示会をされとるのを見に行ったりとか。あとは鳥取で活動されているイラストレーターのClaraさんとか、童画家のたなかかおるさんとか、展示会があったら見に行きます。あとは、米子の安部朱美さんの人形展もあったら見に行ったりします。

——Claraさんは鳥取駅のギャラリーそらさんで手作り雑貨販売のイベント「まんぷく市」をされたりもしていました。その時は行かれましたか?

門村:その時は行きました。

——鳥取で活躍されてるイラストレーターの方のグッズがたくさん売られてましたよね。そういうグッズとかを買われたりはするんですか。

門村:そうですね。そんなすごい集めるっちゅうことはないけど、行ったら一点二点ぐらいは買って帰る、みたいなね。使うというわけでもないんだけど、期間限定のものが好きなのでカレンダーとかあったら買ったりしてます(笑)。画集の代わりみたいに買うっちゅうかね、まあカレンダーっていうのは、期間限定でその時しか多分ないんで、とりあえず買っとこうみたいな(笑)。

——過去に買ったカレンダーを見たりとかはするんですか。

門村:もう、ありすぎて(笑)。しまってるから、出してない。それこそものが溜まりすぎてなかなか整理もつかんみたいな恰好ですけどね。あるはずだけど、みたいな。

——買ったときに「これで満足」ってなっちゃいますよね(笑)。

 

謎解きも、芸術…?

門村:それこそ、こんな本も買うんだけど(謎解き本)、まだ解いてないのが山ほど積んである(笑)。

——こういうのがあると、暇なときとかにさっとできますよね。さっきも真後ろにおかれてましたもんね。

門村:そう(笑)。さっきも待っとる間に途中までしてた。

——ああそうなんですね。進みました?

門村:ええ、今この魔王塔を登っとるところです。

——頂上で終わりですか。

門村:そう、頂上にいる魔王がお姫様が閉じ込めていて解放しなきゃいけない、という設定なんで、とりあえず塔を登らないといけないんですよ。多分塔を登りきると、魔王のいるところがわかるか、魔王がいる扉の開け方がわかるとか、そうなると思うんですけど。それから、最後の戦いになると思うんですけどね。わかんないですけど。

——一冊でいろんなしかけがあるんですね。こういうのもすごく広く言えば芸術みたいだなと思えてきました。

門村:そりゃそうだ(笑)。

 

脚注
[1]毛利彰…鳥取県出身のイラストレーター。2008年没。伊勢丹のファッションイラストレーション担当を経て、フリーに。日本のイラストレーターの草分け的存在とされる。


 

門村裕明 / Hiroaki Kadomura
1964年鳥取県若桜町生まれ。県外の大学へ進学後、鳥取に戻って家業の製造業を継ぐ。1987年から1990年まで鳥取市内で自主上映活動を行い、鳥取シネマ倶楽部の代表を務めた。2023年3月末に解散することとなった鳥取コミュニティシネマ(代表:清水増夫さん)の上映当日のスタッフとして設営の手伝いも行う。一番熱心に行ったのは映画だが、コンサートや演劇にも足を運ぶ。

杵島和泉 / Izumi Kishima
2001年佐賀県生まれ。2020年4月鳥取大学地域学部国際地域文化コース入学。鳥取県の映画館で発行された映画館プログラムや地方新聞記事等のノンフィルム資料に注目した調査研究を行っている。アーカイブやフィルム上映にも関心を持ち、地域資料の整理や映写補助の活動にも取り組む。2023年8月1日から8月30日まで、「見る場所を見る2+——イラストで見る米子の映画館と鉄道の歴史」と題した展覧会を米子市立図書館で開催。

木原未稀 / Miki Kihara
2001年鳥取県生まれ。2020年4月鳥取大学地域学部国際地域文化コース入学。ドキュメンタリー映画の作品研究と制作活動を行っている。2023年ドキュメンタリー映画「Claraさんのはりこ」(2023)を制作し、「見る場所を見る2——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」の関連企画として展示上映。

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