2023.5.22

互いを刺激し合える仲間はいますか? 品岡トトリ インタビュー後編

わたし|ワンダー編集部
互いを刺激し合える仲間はいますか? 品岡トトリ インタビュー後編

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イラストレーター・品岡トトリさんへのインタビュー後編。前編に続いて今回は、品岡さんが在学中に所属し、強く影響を受けたという「創造性とコミュニティプログラム」での仲間たちとの日々が語られます。
鳥取大学地域学部の卒業生である品岡さんに、文化芸術に関心のある同学部生の集まり「にんげん研究会」の梶川真奈さんと芹澤みなみさんがお話を聞きました。

 

好き勝手表現していいんだ

品岡:自分自身、アート活動が人生のメインになり始めたのが大学なんですよ。だから、大学で出会った芸術文化コース(現・鳥取大学地域学部地域学科国際地域文化コース)での活動っていうのが一番印象に残ってますね。例えば「鳥取夏至祭」っていう、鳥取を舞台に、全国各地からアーティストの方々が来られて、みんなで即興でパフォーマンスするイベントを拝見して。本当にアートって人によって違うから、好きに表現していいんだなっていう印象を受けました。それが、衝撃に近い印象というか。それからやっぱり、創造性とコミュニティプログラム[1](以下、創コミュ)で出会った同期の仲間たちのそれぞれの活動も印象に残ってますね。

芹澤:創コミュの皆さんは、どんな活動をなさってたんでしょうか。

品岡:何やってたんだろうってぐらい…(笑)というと言い方が悪いんですけど、本当に色々やってましたね。創コミュの授業って一番最初は、映像も、身体表現も勉強するんですよね。良い意味で入り乱れてたからこそのアート活動が見れた気がします。演劇やってる子もいるし、舞台照明やってる子もいるし、絵描いてる子もいるし。その自由さが印象に残ってるかな。まあ勝手に自由にしてたんですけど(笑)。

芹澤・梶川:(笑)

品岡:本当に好き勝手表現していいんだっていうのが印象に残ってますね。

芹澤:好き勝手行動できるって、同人活動とも結構繋がってくる部分ですよね。

品岡:そうですね。自己表現していいんだ、みたいな。 まあTPOは弁えないといけないけど、自分の好きなようにしていいんだっていうのはびっくりしたかな。昔の芸術文化コースは、入れるのが1学年に4人しかいなくて。それが、自分たちの代からのコース改編で枠が取っ払われたことによって、増えたんですよ。アート系のゼミに入れる人数が。そこで、幅が広がったというか。芸術一択だけで来た人だけじゃなくて、元々国際系や日本文化に興味があったけど、芸術系楽しそうだなって入ってくる人も結構入り混じってて。実際、私の代の佐々木ゼミ(佐々木友輔研究室)も、元々は私1人だけ行くんだと思ってたんですけど、国際文化から2人来て、歴史系からも1人来て。最初はもうびっくりしまくってたんですけど、でもそれのおかげで違う刺激をもらえて…みたいな感じですね。

 

毎日そこに誰かしら居た「創コミュ」の仲間たち

芹澤:創コミュみたいな、小さい単位ながら発表する場があるからこそのモチベーションって大きいですよね。

品岡:大きいですね。それでだいぶ成長できた部分もありますからね。皆さん今使っているかわかんないですけど、学生室っていうのがあって。

梶川:あー、創コミュの学生が作業に使ってるあの部屋ですよね。

品岡:バリバリ使ってますか(笑)。すいません、散らかしてて…。でも本当に、誰かしらが居たんですよ、毎日そこに。朝であろうと夜であろうと。だからこそ「今これやってる」とか、一緒に作業することができて、切磋琢磨するのにいい場所だったなって。褒めても貰えるし、もうちょっとこうした方がいいんじゃないとか、相談に乗るとか、何もせずただ騒ぐだけとかもできて。良い場所だったなって思います。

梶川:秘密基地みたいな感じですかね?

芹澤:居るだけでワクワクしますよね。ある種の実験場みたいな。

品岡:そんな感じですね。何でもありみたいな。新しい道具を買ってきては、試してみたりとか。舞台照明の子が、「こういう演出どうだろう」って言って照明買ってきたりして。

梶川:照明買ってくるんですか?!

品岡:そう、工事現場とかによくある紐状のライトみたいな、あれ買ってきて吊るしたりとか。色々しました。

 

鳥取で出会った最も印象に残る芸術

梶川:へぇ…。そういう色んな実験を見たり参加したりする中で、ご自身の作品に影響した出来事や要素ってありましたか?

品岡:要素…自分の作品にはそこまで取り入れてない、かもしれないけど。自分はそんなに作品を作らないのに、負けん気が強いところがあって。 その作品がいいかは置いといて、その子のやる気?が伝播して、「負けてられっか」みたいな気持ちになって。それで、寝ずに作ったりみたいな(笑)。
最初、佐々木ゼミは自分しか入らないと思ってたんで、先生の意見を全部もらえると思ってて。だけど、後から3人入ってきて、「なんか4分の1に割かれた、ヤバい」みたいな。

梶川:なるほど。

品岡:そう思ってたけど、入ってきてくれた人たちのおかげで刺激を受けて、制作が捗ったっていうのはあるかなって。
そういう意味ではやっぱり、鳥取で出会った最も印象に残る芸術っていうのは、創コミュのみんなと、鳥大の先生たちじゃないかなと思いますかね。

梶川:なんか感動しました。

品岡:いやいや。私自身、資料集めとかがすごい下手で、外に出るのもあんまり好きじゃないんですよ。だからこそ友達や先生が「これいいよ」とか「ここ行ってみようよ」って言ってくれたことで、ちょっと世界が広がりました。

芹澤:そうですね。ものを作ろうっていうコミュニティや場所に、いつでもアクセスできる状態ってすごく貴重ですよね。


品岡さん在籍時の創コミュ卒業展覧会の様子

品岡:貴重ですね。めちゃくちゃ良い環境だなって思います。それと勇気が要りますもんね、発表するのは。何言われるかわかんないから。
趣味として続けていく分には独りよがりで作っていけるけど、更に良いものにするんだったら、やっぱ人に見てもらった方がいいのかなっていう感じがしますね。

梶川:じゃあ、精度を上げるための段階って感じですか?発表っていうのは。

品岡:そうですね、より良いものにしたいって言うんなら、やっぱり発表した方がいいのかなとは思います。強要するわけじゃないけど。自分自身、今は仕事が立て込んでて、なかなか作品の発表が出来てないんですけどね。
それこそ発表できる場っていうのを逆に作れたらなって。発表っていうと、人によっては億劫になっちゃうから、交流できる場?例えば自分がやってる鳥取アートフリマみたいな場所を提供できたらなって感じです。

 

脚注
[1] 創造性とコミュニティプログラム…鳥取大学地域学部国際地域文化コースに設けられた3つのプログラムのうちの1つで、アートやデザイン、パフォーマンス等を専門とする研究室の学生が所属している。

 


 

品岡トトリさんも参加する、創造性とコミュニティプログラム1期生有志によるグループ「騒々しいぞ、コミュニティ」の展示が6月に、友人の織作雨さんと主催する「鳥取アートフリマ」が10月に、それぞれ開催されます。

騒々しいぞ、コミュニティ アーツミーティング「いまなにしてる?」
日時:2023年6月17日(土) 13:00-19:00※最終入場は18時まで
会場:汽水空港(鳥取県東伯郡湯梨浜町松崎434−18)
入場料:投げ銭制、作品販売有
出店作家:大久保藍、落合麻衣、音泉寧々、Kinn、品岡トトリ、中村友紀、NIBOSHI、にゃろめけりー、藤森このみ、yamasaki
お問い合わせ:tottori.rscc@gmail.com
Twitter:@tottori_rscc

第5回 鳥取アートフリマ
鳥取県の全ジャンル一次創作オンリー同人系即売会。イベントの詳細は決まり次第、Twitter等各種SNSで告知されます。

日時:2023年10月頃
会場:未定
お問い合わせ:tottoriart@yahoo.co.jp
Twitter:@tOttOri_art
Instagram:@tottoriart

 


 

品岡トトリ / Totori Shinaoka
鳥取県出身。鳥取大学地域学部地域学科国際地域文化コース卒。鳥取アートフリマ共同主催。米子市のアニメ制作会社に勤務しながら、個人でもイラストレーターとして活動中。「騒々しいぞ、コミュニティ」メンバー。

芹澤みなみ / Minami Serizawa
2001年生まれ。静岡県沼津市出身。2020年、鳥取大学地域学部地域学科国際地域文化コース入学。研究の一環兼趣味で、「亜海とま」名義で絵を描いている。最近の趣味はポケモンとスプラトゥーンとTRPG。

梶川真奈 / Mana Kajikawa
2001年生まれ。鳥取県鳥取市出身。地域学部地域学科国際地域文化コース令和2年度入学。
ゼミではオリジナル曲とMVを制作している。また、趣味で演劇の脚本執筆やK-POPの和訳動画を作る他、ゼミ内外でのK-POP布教も行っている。音楽と空想、演技、創作をこよなく愛すINFP。

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